研究概要 |
本研究グループは抗腫瘍免疫の誘導型の免疫遺伝子療法の確立を目指し、口腔癌細胞に対する細胞障害活性を誘導するケモカインおよびサイトカイン遺伝子を口腔癌由来の扁平上皮癌細胞株に遺伝子導入を行い導入遺伝子発現、タンパク発現、エフェクター細胞への作用および腫瘍原性などについて検討をおこなった。 1)免疫原性の弱いヒト口腔癌細胞株HSC2,HSC3およびHSC4へmacrophage inflammatory protein-1α(MIP-1α)遺伝子導入し,各細胞株における発現効率を検討しHSC3細胞を高発現株として選択し、BALB/c nu/nu miceへ移植し、MIP-1αにより腫瘍巣へ誘導されるeffecter cellを免疫組織化学により確認し、腫瘍形成能がコントロールト比べ明らかに低下することを報告した。この研究により免疫原性の弱い扁平上皮癌にexpression vectorにケモカイン遺伝子挿入したplasmidをlipofectionにより導入し、抗腫瘍効果をえることができることを明らかにした。 2)将来の遺伝子治療を想定し、導入遺伝子の感染効率および操作性を考え、INFgやIL-2産生誘導誘導をするIL-18をadenovirus vectorに導入し、NK cellやmacrophagesを活性化させることで抗腫瘍活性を発現させる免疫遺伝子治療を目標に研究を行った。Adeno virusvectorを用いても抗腫瘍effecter cellを誘導することが確認でき、腫湯volumeの現象効果を認めたが、完全に消失することはなかった。ついでrecombinant IL-12を併用投与し縮小効果の増大をはかった。一連の研究により、免疫原生の低いヒトロ腔癌へ遺伝子治療によりinnate immunityの増強をはかることで抗腫瘍効果をえることが明らかになった。今後、さらなる研究により腫瘍免疫ワクチン療法への展開を図る。
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