研究概要 |
生体膜マイクロドメイン(ラフト)の概念を取り入れ、神経細胞膜流動性変化における麻酔薬とβ-Carbolineの相互作用、飲酒と麻酔効果のbiomarkerとしての生体内β-Carbolineに関する一連の研究を実施し、以下の成果を得た。さらに、炎症組織での局所麻酔効果減弱、疎水性相互作用による麻酔薬吸着、新規β-遮断薬の膜作用に、本研究の発想と実験系を応用・発展させた。 I.相互作用 局所・全身麻酔薬と合成β-Carbolineあるいは水酸化代謝物の膜流動性変化に関する相互作用をラフトモデル膜で解析し、β-Carbolineが麻酔薬の膜作用を抑制することを明らかにした。 II.毛髪分析 平成15年度に開発したHPLCで毛髪分析を行い、麻酔薬と相互作用するβ-Carbolineがalcoholicsの毛髪中で増加することを実証した(Tsuchiya, H.,J.Chromatogr.A,1031:325-330,2004)。 III.炎症と麻酔効果 炎症組織の液性変化(酸性化)や炎症性Peroxynitriteとの相互作用により、ラフトモデル膜に対する局所麻酔薬の作用が複合的に抑制されることを証明した(日本麻酔科学会第51回学術集会発表)。 IV.吸着性 上記HPLC分析法を応用し、各種局所麻酔薬の持続薬液注入用バルーンへの相対的吸着強度と吸着機序を解析した(Mizogami, M.et al.,Anesth.Analg.,99:764-768,2004)。 V.β-遮断薬 短時間作用型選択的遮断薬について、膜脂質二重層に対する作用機序を特徴づけた(第26回生体膜と薬物の相互作用シンポジウム、IARS 79^<th> Clinical and Scientific Congress、8^<th> America-Japan Anesthesia Congress発表)。
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