過換気状態における局所脳血流量の変化について、非放射性カラードマイクロソフェアを用いて実験的研究を行った。実験動物には家兎を用い、笑気(67%)・酸素(33%)を用いて人工呼吸下で調節呼吸を行った。動脈血炭酸ガス分圧が、35-40mmHgになるよう換気回数、一回換気量の調節を行い正常炭酸ガス群(normocapnia群)とし、マイクロソフェア(イエロー)を左心耳より注入した。その後、換気回数、一回換気量を増加させ動脈血炭酸ガス分圧が25-30mmHgになるよう強制的に過換気状態にして同様にマイクロソフェア(ブルー)を注入した(hypocapnia群)。なお、実験は一羽の家兎につき、正常炭酸ガス測定後過換気にした群と、低炭酸ガス測定後正常炭酸ガス状態にした群をランダムに分け実験を行った。その後、除脳を行い、橋・視床・小脳・海馬・大脳皮質の領域の組織サンプルおよびリファレンス血液からマイクロソフェアを回収し吸光度から各組織サンプルの血流量を算出し、normocapnia群と比較した。その結果、noromocapnia群と比較してhypocapnia群では、大脳皮質、小脳領域で局所脳血流量の低下が認められたが、海馬、橋、視床領域では低下はわずかであった。過換気発作による脳血流量の低下は、大脳皮質、小脳領域など脳代謝の影響を強く受け、脳血管からの血流供給が多い領域で顕著に減少するものと考えられた。
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