研究概要 |
今年度は、悪性腫瘍に罹患した小児の口腔状態を把握するため、新潟県立ガンセンター小児科に入院中の小児の保護者に説明し了解を得て、以下のような口腔内診査と全身状態の指標としてCandida検査のための試料を採取した。 [対象と方法]対象となった小児は、急性リンパ性白血病(ALL)18名、急性骨髄性白血病(AML)9名、悪性リンパ腫(ML)4名、神経芽腫(NB)4名、その他の悪性腫瘍8名、計43名である。年齢は、7か月から15歳1か月であった。治療は、寛解導入療法、維持療法、放射線療法のいずれかで加療中で、経口的に抗真菌剤の投与を受けていた。 口腔内診査は、ほぼ隔週ベッドサイドで歯科用ミラー、探針、ペンライトを用いて、う蝕および口腔粘膜について行った。1人あたり1-11回の診査回数であった。Candidaの検査試料として,シードスワブγ1号(栄研)の滅菌綿棒を用いて,舌苔を採取した。採取した試料を,クロモアガーカンジダ培地(関東化学)に塗沫し、35℃で培養を行った。48時間後,コロニーの生育を観察し、コロニーの同定とCandidaの分離頻度を求めた。 [結果]口腔の病変は、43名中18名((41.9%)に認められた。診断別の内訳は、ALL18名中3名、AML9名中7名、ML4名中2名、NB4名中2名、その他8名中4名であった。病変の内訳は、潰瘍性口内炎6名、カンジダ症3名、毛舌3名、移植片対宿主病2名、歯肉腫脹1名、出血斑1名、アフタ2名であった。AMLで重症の口内炎の頻度が高い傾向を示した。 Candida陽性者は43名中8名(18.6%)で、うち3名はカンジダ症を発症していた。陽性者8名中5名には重症例を含む齲蝕罹患を認め、口腔衛生状態との関連が示唆された。クロモアガーカンジダ培地(関東化学)での呈色によりコロニーは、Candida tropicalisと同定された。
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