研究概要 |
本研究課題について行なった今年度の研究項目および結果を示す。 1)三次元模型計測システムの改良と乳歯列模型の形態解析 接触型三次元測定器(マイクロスクライブ)を用い、形態解析プログラムを開発したが、これに改良を加え、歯列咬合異常児の上下乳歯列の咬頭頂曲線と咬合状態を矢状、前頭、水平方向で再現でいるように機能を付加した。このプログラムを使用し、小児歯科所蔵の正常咬合児20名の歯列形態分析を行った。 2)反対咬合を有する乳歯列期小児の滑走運動と咀嚼運動解析 咬合異常モデルの作製において必要となる乳歯列期小児の滑走運動と咀嚼運動の特徴を以下に示す。 被験児は正常咬合を有する乳歯列期小児(正常咬合児群)20名と乳歯列期前歯部反対咬合を有する小児(反対咬合児群)15名とした。6自由度下顎運動測定装置を用い,各被験児において下顎前方滑走運動(以下,前方滑走運動)を各3回計測した。解析点は下顎乳切歯点(以下,切歯点),左右の解剖学的顆頭中央点(以下,顆頭点)とした。解析項目は,上下,左右,前後の運動範囲および三次元直線距離とし,さらに切歯点と顆頭点の運動の関連性を明らかにするため,これら2つの解析点間の相関係数を求めたところ,以下の結果を得た。 (1)反対咬合児群の切歯点と顆頭点の運動範囲や距離は,正常咬合児群と比較して有意に小さかった。 (2)正常咬合児群,反対咬合児群ともに前方滑走運動時の切歯点と顆頭点の運動範囲に高い相関が認められた。 (3)反対咬合児群は,個人間相関係数が個人内相関係数よりも大きい傾向が認められ,正常咬合児群とは様相が異なっていた。
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