研究課題
LIM homeobox遺伝子は、個体形成の設計図となる遺伝情報であると考えられている。ボディープランの情報とされるLIM-homeobox遺伝子が、複雑な顔面骨格を形成する過程において、どのように働いているか探ることは、顎顔面の形態異常のメカニズムを知る手がかりとなるものである。昨年度、LIM-homeobox遺伝子のうちLhx6あるいはL3/Lhx8が、chick embryoの上顎突起と下顎突起に特異的に発現していることを明らかにし、上皮-間葉間の相互作用が深く関与することをあきらかにした。本年度は、L3/Lhx8遺伝子発現に対する上皮-間葉系のメカニズムについて検討した。顔面突起の癒合が始まる前(Stage23)のChick embryoの上顎突起を摘出し、別のchick limb budに移植し、24時間後L3/Lhx8プローブを用いてin situ hybridizationを行った。移植された上顎突起には、L3/Lhx8の発現がみられたが、上皮を除去して移植された組織には遺伝子発現が見られなかった。次に、embryoの顔面上皮に存在する成長因子であるFGF8あるいはTGFβ-3を浸潤させたbeadsを上皮を除去した移植片に埋入すると、L3/Lhx8の発現が誘導されていることが認められた。以上の結果、L3/Lhx8遺伝子の発現には、上皮-間葉系の相互作用が関与しており、FGF8あるいはTGFβ-3は、L3/Lhx8遺伝子を誘導する因子であることが示唆された。
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