今年度は口腔内各部位におけるpHの連続モニタリングを行なった。対象は健康成人6名で唾液分泌量が平均的で齲蝕の数も少ない者とした。PH測定はISFET電極、銀-塩化銀皮膚電極を用い、ISFET電極をISFETmV/pH METER(Bas社製)に接続し、データをコンピューター上で分析した(Mac Lab・4s、AD Instrument社製)。ISFET電極は歯牙表面に接するように光重合レジンで隣接歯に固定し、2点ポイントでキャリブレイションを行い、(A)上顎前歯部唇面(UAB)、上顎臼歯部頬面(UPB)、下顎前歯部舌面(LALi)の3箇所のpHモニタリングを(A)安静時、および(B)酸性溶液(pH3.3)で洗口した後に分けて行なった。 その結果 (A):安静時では20分間モニターした結果、LALiが常に高く、pH7.0近くを維持していたが、UPBとUABは常にそれより低いpHを維持していた。 (B):酸性溶液で洗口後pHは3箇所とも一旦3.3の当たりまで下がった後、LALiは速やかに(約2分)で元のpHにもどったが、UABとUPBは30分後も元に戻らなかった。30分後のpHはUPB、5.0、UAB、4.5であった。 結論として口腔内のPHは安静時でも異なり、刺激後の回復も部位によって異なっていることが明らかとなった。
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