研究概要 |
小児歯科臨床における歯科用局所麻酔剤の使用実態と副作用発現状況についての調査を前年度は実施した。本年度は、回収された調査用紙の集計および分析を行った。結果は以下の通りである。 1.大学病院の小児歯科から3,890名、小児歯科診療所から255名、計4,145名分の調査用紙が回収された。 2.調査対象者の年齢は0歳から20歳以上と広い範囲にわたっていたが、12歳以下が約90%を占めていた。 3.全身疾患を有する者が15.3%、アレルギーを有する者が7.5%みられ、全身疾患では喘息が最も多かった。 4.低年齢児が多いことから、局所麻酔経験がなく初めての小児が16.2%を占めていた。 5.置内容としては、歯髄処置や外科的処置ばかりでなく、コンポジットレジン修復などの歯冠修復処置にも局所麻酔は多用されていた。 6.局所麻酔剤としては、エピネフリン添加リドカイン製剤が最も多く用いられており、薬剤投与量は1.0ml以内が71.0%であった。 7.術中、術後の不快事項はそれぞれ2.6%にみられたが、その大部分は麻酔の奏効不良や痺れによる違和感、咬傷などであった。局所麻酔剤の副作用を疑わせる症状は術中に3例(0.07%)、術後に6例(0.14%)みられたが、重篤な症状に陥ったものはなかった。
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