研究概要 |
本研究は,サイトカイン(IL-17)およびメカニカルストレス刺激下のヒト線維芽細胞におけるC/EBPの発現とその変化を明らかにし,それがMMP-1遺伝子の発現にどのような影響を与えているかを解明することを目的として行った.Shimizuらの方法^<11)>に準じて得られたヒト歯根膜線維細胞で5〜7代目のコンフルエントな状態になった培養細胞を,6hall plate(Flexercell^<【○!R】> strain unit)に播種し実験に用いた.申請者らは,平成14年度に培養プレート底部を一定時間持ち上げる持続性のメカニカルストレスを加えた結果,MMP-1mRNAの発現に著明な経時的変化は認められず,collagen type-I mRNAは2時間後で減少し24時間後に増加することを明らかにした.しかし,IL-1β mRNAの発現は認められなかった.また,平成15年度はヒト歯根膜線維芽細胞に圧迫刺激と持続性の伸展刺激を加えて,メカニカルストレスの種類によるIL-1βの発現とそれがMMP-1遺伝子の発現に及ぼす影響について比較検討した.今年度はメカニカルストレス下での骨リモデリングに関与するヒト歯根膜線維芽細胞由来のサイトカインとしてIL-1β,歯周組織のdegradationに関与する因子としてMMP-1,細胞基底膜のdegradationに関与する因子としてMMP-2に着目し,それぞれのmRNA発現に及ぼす反復性メカニカルストレスの作用について比較検討を加えた.メカニカルストレスとしてFlexercell^<【○!R】>strain unitを用いた反復性の伸展刺激を加えた。実験群は2時間,4時間,6時間,8時間および24時間刺激を加えた後,細胞を回収した.得られた細胞より通法に従いtotal RNA精製,first-strand cDNAの合成を行いRT-PCR法にて,IL-1β,MMP-1,MMP-2mRNAの検出を行った.その結果,反復性伸展刺激下ではIL-1βmRNAの発現に経時的な変化が認められた.一方,対照群では認められなかったMMP-1は2時間後から発現し24時間までその発現が確認された.MMP-2に著明な変化は認められなかった.現在,IL-17刺激とメカニカルストレス刺激の2条件下でのMMP-1の発現についてさらに検討を加えて研究遂行中である.
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