研究分担者 |
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
奥村 茂樹 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80350825)
宮沢 裕夫 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (90147637)
高橋 直之 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (90119222)
小澤 英浩 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (60018413)
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研究概要 |
RANKLのデコイ受容体であるOPGの遺伝子欠損マウスは,破骨細胞の形成が促進し骨吸収の亢進が認められる。興味深いことに,OPG遺伝子欠損マウスは骨吸収の亢進と共に骨形成も亢進している。そこで、骨吸収阻害薬であるビスフォスフォネートを投与することにより骨吸収を強力に阻害した際に,OPG遺伝子欠損マウスにおける骨形成マーカーがどのような挙動を示すかについて解析した。 実験は、14週齢雄のOPG遺伝子欠損マウスおよび正常マウスにビスフォスフォネートを30日間連続皮下投与(0.01mg/kg)した。その結果、1.大腿骨成長板直下において,OPG遺伝子欠損マウスでは立方形のふっくらと厚みを増した大型の骨芽細胞が多数認められた。これらの立方形を呈する骨芽細胞は,ビスフォスフォネートの投与によって消失し,扁平な形態を示すようになった。2.腰椎における骨形態計測の結果,OPG遺伝子欠損マウスにおいて亢進している各種の骨吸収マーカーおよび骨形成マーカーはビスフォスフォネートによって完全に正常化された。3.OPG遺伝子欠損マウスにおいて高値を示す血清中のアルカリホスファターゼ活性およびオステオカルシン濃度は,ビスフォスフォネートの投与により,正常マウスの値以下まで低下した。 一方、正常マウスでは認められない血清中の可溶性RANKLがOPG遺伝子欠損マウスで高値を呈していた。ビスフォスフォネートの投与は、可溶性RANKL濃度には全く影響を与えなかった。 以上をまとめると、骨吸収の亢進により骨粗鬆症を呈するOPG欠損マウスにおいては、骨芽細胞による骨形成の亢進がカップルしていることが認められた。このOPG遺伝子欠損マウスにおける骨形成促進は、ビスフォスフォネートの投与によって完全に抑制された。この実験結果は、骨吸収の亢進と骨形成の促進は共役(カップリング)していることを示すものである。すなわち、骨組織においては、何らかの骨代謝共役因子が存在している可能性が立証できた。現在、OPG遺伝子欠損マウスにおける歯の形成について象牙芽細胞に焦点を当て観察中である。
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