研究課題/領域番号 |
15592184
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
萩原 さつき 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (70134715)
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研究分担者 |
野口 和行 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (90218298)
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キーワード | 歯周疾患 / 2型糖尿病 / 歯周治療 / 肥満 / HbAlc / TNF-α / IL-6 / CRP |
研究概要 |
本年度は、2型糖尿病患者に対する歯周外科治療の効果について研究を行った。 [緒言]歯周外科治療(全顎的なFlap Operation)を行った2症例について、歯周組織の炎症と血糖のコントロールおよび血清中のCRP、 IL-6、TNF-α濃度に対する影響について検討した。 [症例]44歳、男性、重度歯周炎を併発した2型糖尿病患者であり、初診時のHbAlcは7.9%、空腹時血糖値は223mg/dlで、α-グルコシダーゼ阻害薬の投薬を受けていたが、歯周治療開始時からは食事療法のみであった。歯周基本治療後には、HbAlcは8.9%、空腹時血糖値は224mgdlであり、歯周外科治療後には、HbAlcは6.5%、空腹時血糖値は131mgdlと改善した。歯周外科治療により歯周組織の炎症も改善した。血清CRP(ng/ml)濃度は、歯周基本治療開始時858、再評価時300、歯周外科治療後356と減少し、IL-6(pg/ml)濃度は、歯周基本治療開始時0.86、再評価時0.47、歯周外科治療後0.46と減少した。TNF-α(pg/ml)濃度は、歯周基本治療開始時0.'22、再評価時0.44、歯周外科治療後0.84と増加した。肥満度(BMI)は、歯周治療開始時20.2、再評価時20.0、歯周外科治療後には18.6と減少した。 [対照症例]46歳、男性で重度歯周炎に罹患した非糖尿病患者に歯周外科治療を行った結果、歯周組織の炎症は改善した。血清CRP(mg/ml)濃度は、歯周基本治療開始時72、再評価時64、歯周外科治療後62と減少し、IL-6(pg/ml)濃度は、歯周基本治療開始時1.76、再評価時1.48、歯周外科治療後0.89と減少した。TNF-α(pg/ml)濃度は、歯周基本治療開始時0.62、再評価時0.82、歯周外科治療後0.20であり、歯周外科治療後に減少した。肥満度(BMI)は、歯周治療開始時26.2、再評価時26.2、歯周外科治療後には25.7であった。 [考察および結論]重度歯周炎を併発した2型糖尿病患者に歯周外科治療を行った結果、歯周組織の炎症は非糖尿病患者と同様に改善し、血清中のCRPおよびIL-6濃度は減少した。歯周基本治療開始時のTNF-α濃度は非糖尿病患者に比べて低い状態で、歯周治療後も有意な変化は見られなかった。この症例の血糖のコントロールの改善は体重の減少によると考えられるが、歯周組織の炎症の改善は炎症細胞からのTNF-α産生を抑制することにより、血糖のコントロールの改善に寄与すると考えられる。
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