研究分担者 |
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50226768)
苔口 進 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10144776)
前田 博史 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00274001)
新井 英雄 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70222718)
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研究概要 |
Actinobacillus actinomycetemcomitansが感染を起こすためには,既存の報告されている病原因子,未だ発見されていない病原因子が,複数・相互に関連し,統合した形で働いているものと想像できる。このようなA.actinomycetemcomitansの病原性発揮状態を統合的にとらえるのが,本研究の目的である。モデルとして,分離直後のコロニー形態であるラフ型を形成する菌株を採用し,この表現型に特異的に発現する遺伝子を検索した。 仮説 A.actinomycetemcomitansは,病巣局所から単離した直後はラフ型コロニーを形成し,継代培養することによりスムース型のコロニーへ変移する。ラフ型表現型は線毛を発現しており,スムース型に比べて付着・定着能が高い。分離直後であるラフ型菌株では,線毛だけではなく他の病原性因子も協調して発現しているのではないか。 方法・結果 ラフ型に特異的に発現する分子の同定をサブトラクトハイブリダイゼーションによりて行った。すなわち,ラフ型304-a株・スムース型304-b株それぞれのtotal RNAをランダムプライマーで逆転写し,CLONTECH PCR-Select Subtraction Kitを用いてラフ型菌株に特異的に発現している遺伝子を検出した。スクリーニングとしてリパースノーザンハイブリダイゼーションとノーザンハイブリダイゼーションを行い,最終的に3つの遺伝子を得た。Macrophage infectvity potentiator(Mip), peroxiredoxin,外膜タンパク遺伝子(ompA)である。これらの遺伝子はスムース型に比べてラフ型では4から10倍のmRNA量があった。 今回検出した遺伝子と既知病原遺伝子の,歯周病患者歯周ポケットでの発現様態を今後調べる予定である。これによりA.actinomycetemcomitansの感染の有無のみでなく,感染アクティビティをも検査することができるかもしれない。
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