多血小板血漿(PRP)はトロンビンでゲル化が可能なことから自己の成長因子を多量に含んだ担体としての役割が期待される。そこで、PRPと細胞の併用による適した骨再生療法の開発を目的として、我々はPRPゲルで包埋培養したMC3T3-E1細胞による骨形成の有効性を組織学的に検討し、骨形成マーカーの発現を調べた。 β-glycerophosphate、ascorbic acid添加、無添加培地にて培養後に包埋培養された細胞のCbfa-1、ALPase、bone sialoprotein、osteocalcinのmRNA発現をRT-PCR法にて解析した。また、培養細胞を0.5%PRP、PPPゲル上清および200μM ascorbic acid(AA)、10mMβ-glycerophosphate(β-GP)添加、非添加0.5%FBS含有α-MEM培地にて1、3週培養しアルカリフォスファターゼ(ALP)染色、フォンコッサ染色を行った。 1.PRPゲルで包埋された細胞はPPPゲル包埋されたものと比較してbone sialoproteinのmRNA発現の亢進を認め、β-glycerophosphate、ascorbic acid添加培地にて培養後のPRPゲル包埋された細胞は、PPPゲル包埋されたものと比較してosteocalcinのmRNA発現の増強を認めた。 2.AA、β-GP添加の有無に関わらず、PRP、PPPゲル上清はともに1週後でALP染色陽性を認め、3週後には、強陽性を呈した。3週後のフォンコッサ染色は、AA、β-GP非添加でもPRP、PPPゲル上清で陽性を認めたが、AA、β-GP添加で強陽性を呈し、両ゲル間で染色に差はほとんど認められなかった。 今回の研究で、自己多血小板血漿は、前骨芽細胞様細胞の骨芽細胞への分化を促進し、骨形成能を高めることが示唆された。現在、異所性骨形成能を評価するためにPRPゲルと細胞をSCIDマウスの背皮下に移植した。あらかじめCM-DiIで標識された細胞をSCIDマウスの背皮下に以下の(1)細胞、(2)PRPゲル、(3)細胞/PRPゲル複合体を皮下注射した。皮下注射部位の脱灰パラフィン切片を作製している。
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