研究概要 |
6-7週齢のC3H/HeN(ワイルドタイプ,日本クレア,東京)およびC3H/HeJ(TLR4欠損マウス、日本クレア、東京)を用い、P. gingivalis刺激における好中球機能,活性酸素産生能、炎症性サイトカイン産生能、生体内殺菌効果について実験を行い以下の結果を得た。動物実験に当っては、日本歯科大学新潟歯学部動物実験倫理委員会の承認許可を得た後に行った。 1.TLR 4欠損C3H/HeJマウスでは、P.gingivalis刺激のようなグラム陰性菌による刺激においてKC産生が低いために腹腔局所に集積する好中球数の低下が認められた。2.PMA刺激によるMCLA依存性活性酸素産生はC3H/HeNおよびC3H/HeJマウスで差が認められなかったことから102、OH・産生能には差異が認められないことが示唆された。 3.HRP/ARPアッセイの結果からC3H/HeNおよびC3H/HeJマウスともP.gingivalis刺激時の活性酸素産生種の主体は0C1-ではなくH202であることが示唆された。 4.TLR4欠損C3H/HeJマウスでは、特にP.gingivalis刺激のようなグラム陰性菌による刺激においてTNFαの産生がほとんど認められなかった。そのためTLR 4欠損C3H/HeJマウスでは、TNFα依存性の好中球機能活性化が起こらない可能性が示唆された。 5.C3H/HeJマウス好中球ではP.gingivalisの殺菌効果がC3H/HeNマウスに比べて遅延しており、この結果はC3H/HeNおよびC3H/HeJマウスにおけるTNFα産生の結果と一致しており、P.gingivalisの殺菌効果にTNFα依存性好中球機能活性化が関与している事を示唆するものと考えられる。 6.経鼻腔感染モデルにおいては、C3H/HeNマウスにおいて肺にP.gingivalis刺激に伴う強い好中球の集積像を認めたが、TLR4欠損C3H/HeJマウスでは肺への好中球の集積は明確でなく全身性に菌血症を引き起こす事が示唆された。
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