研究課題/領域番号 |
15592203
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
廣藤 卓雄 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (10189897)
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研究分担者 |
米田 雅裕 福岡歯科大学, 総合歯科学講座, 助教授 (10253460)
山田 和彦 福岡歯科大学, 総合歯科学講座, 講師 (40289567)
久間 一宏 福岡歯科大学, 総合歯科学講座, 講師 (00218710)
武内 哲二 福岡歯科大学, 総合歯科学講座, 講師 (10148926)
濱地 貴文 九州大学, 病院・講師 (80198811)
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キーワード | 高齢者・障害者 / 全身疾患 / 歯周病原性細菌 / 口臭 / P.gingivalis / T.forsythensis |
研究概要 |
本学園に開設された介護老人保健施設に入所されている高齢者・障害者の患者を主な対象とした歯科診療を行ってきた。入所定員85名(平均年齢83歳)であるが、期間中に80%以上の患者が歯科治療を希望し施設内歯科診察室にて総合歯科学講座が治療や口腔ケアーを行った。全身疾患として痴呆や脳血管障害や循環器系疾患を有している患者がほとんどであった。現在、患者の口腔内状態と歯周病の罹患状況および歯周病原性細菌の分布状況についてプラーク試料を採取しながら検討中であるが、入所患者の動向が早く長期間の観察に適さないため、同様に本学園に開設された介護老人福祉施設での観察研究を検討中である。また口臭に関する情報に関しても、開始年度に購入した測定器は時間がかかるために高齢者のかたには負担が大きかったので、現在、新型測定器に変更しての口臭測定を準備中である。両施設ともに無歯顎患者割合も高いが有歯顎患者のほとんどに歯周病の罹患が認められた。今後、歯科治療、口腔ケアー前後の歯周病原性細菌の変化と全身健康状態や口臭などの変化について長期経過観察して検討する予定である。(福岡歯科大学倫理委員会許可番号第57号) また、上記の高齢者・障害者の患者に見られる辺縁性歯周炎は、歯肉溝に棲息する細菌によって引き起こされる感染症で、Porphyromonas gingivalisおよびTannerellas forsythensisは、重要な歯周病原性細菌だと考えられているとともに口臭発生の原因にも関与している可能性も示唆されている。本研究においても施設入所の高齢者・障害者の患者の口腔内から検出を試みている両菌は、活動性の歯周炎局所から同時に検出されることが多く、何らかの共役作用を行っていると考えられる。高齢者・障害者の患者は全身の抵抗性が低下しておりこのような菌が健康人よりも多い割合出で存在している可能性が考えられる。そこで動物実験により、本研究において我々は、両菌を接種した後の血清抗体価を測定し、マウス体内での両菌の挙動を推察した。P.gingivalisとT.forsythensisをマウス皮下に混合感染させると、P.gingivalisに対する血清抗体価が、接種したB.forsythusの量に依存して増加することが明らかになり、T.forsythensisが、P.gingivalisの生体内での増殖を促進している可能性が示唆された。またT.forsythensisの成分がP.gingivalisの増殖を助長していることを明らかにした。
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