研究概要 |
H17年度は,H16年度に引き続き健康成人を対象に20名ずつの測定を行った。対象は20歳から30歳,40歳,50歳,60歳,70歳,80歳までとした。それぞれの年齢群に対して20名ずつ(男女各10名ずつ)を対象として研究を行なった。50歳までは健康成人であったが、60歳以降は健常成人のボランティアが非常に少ないため、デイケアを利用している要介護高齢者(要支援〜要介護2)を対象者として選定した。 測定項目はH16年度に引き続き、唾液分泌量,口腔乾燥度(口腔乾燥度計MUCUS^<【○!R】>使用),反復唾液嚥下テスト(RSST),超音波エコー診断装置を用いた。超音波エコー装置は簡便に舌の運動を観察評価できるが,今回の機器はモニター画面が小さい欠点を有するため,超音波エコー装置にモニターを2〜3台接続して,複数の評価者(研究協力者を含む)で評価し,舌の陥凹や深度を決定し、データを得た。 唾液分泌量は20歳の4±2.5ml/4minを境に徐々に減少傾向があった。また口腔乾燥度も20歳で28±1.3から減少するが50歳代までは有意な差はみられなかった。これは服薬の影響も考えられた。RSSTは全年齢を通じて有意な差がでなく、嚥下障害の指標として有効であることが示された。舌の陥凹深度・一口量に関しては残存している歯の数が多いほど陥凹が深い結果となった。ただ、この結果に関してはまだ70歳,80歳の計測が終了していないため(倫理的な配慮のため)、あと数か月の研究継続が必要である。
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