研究概要 |
本研究課題のおける実験室レベルでの研究において、歯周病原菌とされるPorphyromonas gingivalisは、乳酸菌との混合培養によって生育抑制されたが、歯周病菌に対して培養液中のpHが原因になっていることが推測される。しかし、実際の口腔内では乳酸が歯周ポケット内のpHをコントロールしているとは考えにくい。そこで、プラーク抑制という間接的効果の検討を行うためのモデル作製として、Streptococcus mutans(S.mutans)MT8148,OMZ175、Streptococcus sobrinus(S.sobrinus)6715,33478L.casei IAM12473株Streptococcus mitis(S.mitis)6249、Enterococcus faecalis(E.faecalis)BIO3Bを使用菌株とした。S.mutansとS.sobrinusをS.mitis、E.faecalis、L.caseiと各比率により混合培養を行った。またS.mutans、S.sobrinusの不溶性グルカン(WIG)合成能をフェノール硫酸法にて検討した。混合培養した結果、菌株や培養比率が異なっても生育抑制は認めなかった。しかし、S.mitisと混合培養したS.mutansとS.sobrinusのWIG合成量に抑制は認めなかったがE.faecalisとL.caseiとの混合培養によりWIG合成量は抑制された。また、E.faecalisとの混合培養によってS.mutansのコロニー形成が抑制された。以上の結果から、プロバイオッテクスによる疾患抑制効果として、病原菌の生育抑制よりもビルレンスに関する因子の抑制効果が大きいものと推測される。
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