諸外国で頻用されている歯科保健関連QOLのひとつであるOral Health Impact Profile (OHIP)の日本語版(OHIP-JE)を用いた職域を対象とした調査結果について、産業医科大学倫理委員会の承認を得て、検討した。 まず、8658名について性年齢別に8つのグループに分けて解析したところ、スコアの中央値は年齢が高くなるほど高い値を示し、加齢に伴い口腔関連QOLが悪化することが示唆された。一方、男女による差は、あまり認められなかった。さらに、外的基準を口腔の主観的健康感に関する質問項目とし、OHIP-JEスコアとの相関係数を評価したところ、すべてのグループについて下位尺度スコアおよび総合スコアとも統計学的に有意な相関を示した。外的基準を歯科治療の必要性の有無に関する質問項日として評価でも、必要と感じている者は必要と感じていない者より、高いスコアを示し口腔関連QOLは不良であった。これらの結果から、基準関連妥当性は高いことが示された。 次に、2000年と2001年に調査を実施した330名程度の職場について、2003年に同様の調査を実施した。3回の調査すべてに回答したものは、224名であった。現在、OHIP-JEの経年的に繰返し測定されたデータとして解析中である。 また、OHIP-JEは義歯に関する項目を含めて49項目であり、実用化には短縮版の作成が必要と考えている。上記の結果および口腔に関する主観的な評価指標の著名な研究者であるProf Locker (The University of Toronto)の意見を参考に20項日の短縮版を作成中である。
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