研究課題/領域番号 |
15592224
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
永野 みどり 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助教授 (40256376)
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研究分担者 |
徳永 恵子 宮城大学, 看護学部, 教授 (80295378)
櫻井 智穂子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助手 (40344973)
手島 恵 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 教授 (50197779)
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キーワード | 褥瘡対策 / 多職種協働 / スペシャリスト / WOC看護認定看護師 / 現任教育 / 費用対効果 |
研究概要 |
本研究のパイロットスタディとして、特定機能病院に限定した褥瘡対策チームおよび褥瘡対策に関する多職種協働について郵送によるアンケート調査を行った。郵送する質問紙は、複数回答可能な選択式の47項目と数字の記入式の回答形式の3項目、合計50問の質問紙を作成した。2003年6月に、特定機能病院81施設長に調査研究の趣旨と協力依頼を発送し、68施設から同意が得られ、同年8月に同意書の得られた施設を対象に調査を実施した。 61病院からの調査用紙を回収(回収率90%)し、SPSSにより統計処理をおこなった。 主な結界として、以下の実態が明らかになった。褥瘡対策に、予算がついているのは15%であった。医師と看護師以外のチーム構成員として、栄養士が一番多く(78%)、次に薬剤師(69%)、事務職(67%)、理学療法士(33%)の順であり、多職種協働体制で取り組んでいた。褥瘡対策チームの主な活動として、定期的な会議や患者訪問やスタッフ教育の講義などがあったが、定期訪問延べ人数や講義時間数に大きな開きがあった。創傷・オストミー・失禁看護認定看護師(以下WOCNと略す)が褥瘡対策チームに携わっている34施設(56%)では、「褥瘡対策におけるスタッフ教育の講義時間(年間5時間以上・10時間以上)」と「必要に応じて訪問して対応する患者数(月延べ数20・30人以上)」が有意に多かった。WOCNの関わりがなく講義形式による現任教育の機会を持たない8施設では、褥瘡対策チームが訪問して対応する際の一人当たりにかかる時間が有意に長かった(30分以上)。 以上の結果から、特定機能病院において褥瘡対策体制がまだ確立されておらず、施設内での位置づけや活動に大きな格差があることが伺えた。WOCNに関しては「スタッフ教育」と「個別のニーズに応じた患者訪問対応」で、貢献していることが明らかになった。また、スタッフ教育は、能力開発と褥瘡対策に関わる人件費の節減に効果的であることが示唆された。さらに、次年度の大規模調査に向けての、質問項目および質問形式の検討資料が得られた。
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