研究課題/領域番号 |
15592225
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
落合 宏 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (30018692)
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研究分担者 |
吉井 美穂 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30334733)
八塚 美樹 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (00293291)
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キーワード | 緑膿菌 / 環境汚染 / バイオフィルム / 消毒剤感受性 |
研究概要 |
富山県内の5医療施設の諸部署から、緑膿菌の分離を試み、分離菌株のバイオフィルム形成能および消毒剤感受性をヒト由来菌株と比較しながら検討し、以下の結果を得た。 1.ナースステーション蛇口15箇所、排水口12箇所および尿器洗い場と風呂場の各1箇所、計29箇所より緑膿菌分離を試みたところ、21箇所より分離できた(分離率72.4%)。なお、菌同定は生物学的ならびに本菌特異的16SRNAの検出により行った。 2.テフロンシート法により、バイオフィルム形成能を検討した結果、環境由来株21株(分離された各部署より1株選択した)中で20株、ヒト由来10株の全てに同形成能を認めた。 3.バイオフィルム形成性の菌株について、テフロンシート付着性SCと浮遊性FCに区別して、消毒剤感受性を殺菌効果より比較した。なお、使用消毒剤は、塩化ベンゼトニウム(BZC、0.1%と0.2%)、グルコン酸クロルヘキシジン。(CHD、0.1%と0.5%)およびグルタールアルデヒド(GA、2%)である。環境由来菌株とヒト由来菌株のいずれにおいても、BZCおよびCHDの殺菌作用に対してFCに比べSCにより高い抵抗性があることが明らかにされた。GAに関しては、15分接触時間でもSCとFC両者とも生残率は極めて低く、30分接触では、生菌は検出されなかった。 4.消毒剤の接触時間と菌生残率の関係から、感染予防対策上環境の消毒が必要とされた場合、少なくとも、BZC0.2%、あるいはCHD0.5%で60分以上放置すべきものと考えられた。 5.環境由来菌株とヒト由来菌株のSCの3消毒剤の対する感受性を比較すると、ヒト由来菌株により強い抵抗性がある傾向を認めた。このことから、ヒト由来菌を環境へ再汚染菌をして戻すことは極力避けるべきと考えられた。 6.さらに,環境由来株16株を用いランダムプライマー法で遺伝子型別を検討したところ、12タイプに分類できたことから、今後に予定している感染経路追求法簡便化の研究の足掛かりを得た。
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