研究概要 |
研究課題に対する今年度の目的と計画は、まず、アクチグラフを複数日間装着して日常生活を送るという本研究への参加協力を得ることが困難な状況であった在宅高齢者の確保に全力を注いでいくことであった。次いで、参加協力が得られた高齢者を対象に主観的睡眠感、生活習慣等の調査を行う。さらに、アクチグラフを装着してもらい高齢者の睡眠の客観的資料を得ること。そして、得られた客観的データと主観的睡眠感との関連性を検討する。また、生活リズム・生活習慣との関連性を分析すること。 その結果、研究分担者が勤務する周辺のF市内に在住する65歳以上の在宅高齢者16人から参加協力が得られた。分析にはアクチグラフの観察記録が可能であった14人を対象とした。対象者の年齢は70〜91歳に分布し、平均81.8歳であった。男性は5人(35.7%)、女性は9人(64.3%)であった。健康度自己評価では、「かなり健康である」が6人(42.9%)、「普通」が3人(21.4%)、「あまり健康ではない」は5人(35.7%)であった。運動習慣では「ほぼ毎日」が7人(50.0%)でもっとも多く、次いで「週に2〜3日行っている」が3人(21.4%)、「ほとんどしていない」は2人(14.3%)であり多くの人に運動習慣があることが示された。 主観的睡眠感得点(尺度の得点レンジ20〜80点)は、51〜74点に分布し、平均64.4±7.4点と主観的評価がかなり高い対象者であった。 主観的睡眠感得点の中央値以下の8人のアクチグラフの結果では、一日の睡眠において1〜4回のWake Episodesが観察された。そのうちの1人は夜間帯のすべての時間で体動(覚醒?)がみられ、逆に昼間帯で体動が少ない(浅睡眠?)が観察された。また、2〜3回のWake Episodesが観察される以外は、ほとんど体動がみられず客観的には良好な睡眠が得られていると思われる対象者が2人に見られた。 また、主観的睡眠感が良好な人であっても、一日の睡眠においてWake Episodesが2〜3回みられ、それ以外にも一晩中体動が観察され客観的には良好と思えない睡眠状況の人も見られ、先行研究(Trinder1988,Buyseeら1991,Fichtenら1995)でも本研究と同様な指摘がなされている。なお、データ収集までに要した時間の関係から今年度、学会発表は行えなかった。しかし今後、早い段階で学会発表する予定である。
|