研究概要 |
音楽による不安や疼痛の緩和、ストレスの緩和やリラクセーションといった鎮静効果、あるいは気分の高揚、覚醒度の向上などの賦活効果等を目的とした音楽療法が、代替的あるいは相補的治療とし寸行われている。音楽を用いた働きかけにより治療的効果を得るためには、音楽療法の効果についての実証的研究が必要である。つまり、音楽に対する個々人の反応の相違をもたらす人格特性、性格、年齢、音楽経験、音楽感受性などの変数を特定し、その影響を科学的に明らかにしていくことが必要である。 本研究の目的は、音楽鑑賞による反応の個人差を音楽感受性という観点から調査し、音楽によって生じる感情反応と自律神経系の応答について明らかにすることである。 音楽+マッサージ群,音楽群,マッサージ群,対象群に3名ずつ無作為割付した.5分間安静臥床後,30分間,計算問題によるストレス負荷を行った.メディカルチェアーi-1(ファミリー株式会社製)を使用し,音楽は管弦組曲第3番よりアリア(バッハ)を用いた.自律神経活動として心拍R-R間隔のフラクレット解析による副交感神経活性化,および唾液中chromograninAを定生した.気分・感情(多面的感情状態尺度・短縮版),聴取音楽への親近,関心および音楽への日常的な関心,最近1週間の精神的健康度(GHQ-28)を合わせ調査した. 音楽+マッサージ群,音楽群は対照群に比べて副交感神経系の活性化,および唾液中chromograninAの低下僚向があり,音楽によるストレス緩和効果がみられた.日常的に音楽に親しんでいる人のほうが,そうでない人に比べて音楽によるストレス緩和効果が大きかった.また,音楽聴取により非活動的な心地良さの感情(のんびりとした,のどかな,など)が喚起された人は,スートレス緩和効果が大きかった.
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