研究概要 |
【目的】 キャリア初期にある大卒看護師が看護実践における経験をどのように意味づけているか、またこの間に専門職としての自分のキャリア・アンカーをどのように見出し、それがキャリア・ビジョンにどのように影響しているのかを明らかにすることである。 【方法】 臨床経験が1年以上4年未満の大卒看護師13名である。倫理的配慮のもとに研究協力の同意を得て、(1)看護系大学を選択の動機(2)大学入学から職場選択までの経過(3)就職してからの経験についてインタビューを実施し、質的帰納的に分析した。 【結果及び考察】 キャリア初期にある大卒看護師は、経験を通して看護師である自分を創っていたが、それは《自分を見失う》《自分を取り戻す》《一人前を目指す》《なりたい自分をみつける》というプロセスであった。キャリア・アンカーには1)「技術的・技能的能力」2)「自律・独立」3)「生活様式」の3つのタイプがあり、1)のタイプが最も多く、全体として職業的専門性を志向する傾向がみられた。 現在、キャリア初期にある看護師の離職率の増加が大きな問題となっているが、本研究の結果から看護管理者の課題として次のことが示唆された。 1)職場適応するには経験と時間が必要であり、管理者が支援不足のままに新人看護師に早急に独り立ちできることを期待すると自分を取り戻すことに失敗し離職につながるものと考える。 2)技術的・技能的能力をキャリア・アンカーとする大卒看護師のキャリア・ニーズを充足するためには、思考を柔軟にするとともに、外に開かれた教育プログラムを開発する必要性がある。 本研究の成果は、TENTH JOINT SOUTHERN CALIFORNIA CHAPTERS NURSING RESEARCH CONFERENCE,USA.2005で発表した。
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