研究概要 |
妊娠週数31〜32週の妊婦5名を対象に、足浴前25分間の安静の後、15分間の足浴を行い、その後、さらに15分間、足浴後の状態を比較した。 心臓副交感神経の活動は、心電図R-R間隔の呼吸性不整脈の大きさに比例するといわれている、そこで、指標として心電図R-R間隔の呼吸性不整脈のamplitudeを用いた。またパワースペクトラム分析により、FFT(高速フーリエ変換)をもとめ、R-R間隔の呼吸性不整脈のHF(高周波成分)のピーク値の変化を観察した。 その結果、足浴中において、呼吸性不整脈のamplitudeは有意に減少し、足浴後は回復していた。また、パワースペクトラム分析により、R-R間隔の呼吸性不整脈のHF(高周波成分)のピーク値も足浴中において有意に減少していた。よって、足浴によって心臓副交感神経の活動が小さくなることが明らかになった。これらのことから、足浴により、副交感神経活動が小さくなることが推測され、子官頚部の閉鎖する作用が緩められるために、分娩を促進するのではないかと考えられる。 20歳代(21〜27歳)の非妊婦女性6名を対象に,足浴を行い,胸部の皮膚深部温と皮膚血流量,及び体温について足浴前,足浴中,足浴後において5分ごとの変化を観察した。また,平均動脈血圧,心拍数,一回心拍出量,毎分拍出量,総末梢血管抵抗について,足浴前,足浴中,足浴後に持続して測定した。その結果,胸部の皮膚深部温と皮膚血流量,血圧,心拍数,体温,及び平均動脈血圧,心拍数,一回心拍出量,毎分拍出量,総末梢血管抵抗のいずれも有意差は認められなかった。皮膚血流量は足浴開始後20分ころから増加し,20%前後の増加率を保つことが示された。しかし,足浴後は直ちに減少することから,20分間以上足浴をすることが望ましいことが示唆された。
|