皮膚には体温調節、身体保護機能などのほかに保湿などのバリア機能もある。臨床では輸液針などの固定に絆創膏を用いているが、人によってはかぶれや発赤、掻痒感など生じる場合も少なくない。今回、絆創膏の貼付によってこのバリア機能がどのような影響を受けるのか調べることを目的として実験を行った。対象は健康女性10名(22〜45歳)とし、皮膚生理機能として角層水分量・油分量・pH、水分蒸散量(TWEL)を測定した。絆創膏はマイクロポア(3M)、ポアテープ(ミリオン)、トランスポア(3M)、優肌絆(日東)の4種類を用い、それぞれ比較検討した。左右の前腕手掌側の皮膚生理機能を測定した後、上記4種類の絆創膏をそれぞれ貼付した。貼付後1日で片方の腕の絆創膏を、そして2日で反対側の腕の絆創膏を剥がし、それぞれの皮膚生理機能を測定した。入浴など被験者の生活行動上の規制は特に設けず、はがれた場合は再度、同じ種類のテープを貼付してもらった。 マイクロポア貼付後水分量は減少傾向がみられたが有意な変化ではなかった。その他のテープは全て水分量は有意に増加した。これは入浴あるいはシャワー浴により水分が皮膚とテープ間に保持され、そのまま維持されたものと考えられた。皮脂量、pHはいずれのテープも有意な変化はみられなかった。TWELはいずれのテープも剥がした直後は有意に増加していた。しかし、マイクロポアの増加程度は他のテープと比較して有意に小さく、また2日後では15分後には元のレベルに戻っていた。また、優肌絆は被験者全員が貼付し直しており、粘着性が他のテープと比較して弱いことが示された。 以上のことから、通気性や皮膚のバリア機能の維持という点からみると紙製のマイクロポアが最も皮膚に影響を与えないテープであることが示唆された。今後は、テープの素材や粘着物質の成分との関連を検討する必要があると思われる。
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