研究課題
基盤研究(C)
本研究は皮膚表面の状態ならびに皮膚生理機能を指標に、(1)皮膚表面に与える影響からみた湯使用後の効果的なケアの検討、(2)皮膚生理機能に及ぼす医療用粘着テープの影響、そして(3)清拭時の拭く強さならびに回数を変えた際の皮膚への影響について検討を行った。(1)皮膚表面の角層水分量、油分量、皮膚表面のpHを指標とした。温湯につけた直後は水分量と油分量は有意に増加するが、10分後には元に戻った。湯から出した直後ならびに5分後にセラミド入りクリームを塗布すると角層水分量ならびに油分量の増加、そしてpHの低下は60分後まで持続したが、湯から出した10分後に塗布すると20分後には角層水分量は元に戻ってしまった。以上の結果から、湯を使用する場合、終了後5分以内に保湿剤を用いると角層水分量は保たれ、乾燥によるドライスキンを予防し、皮膚生理機能を維持することができると考えられた。(2)角層水分量、油分量そして経表皮水分喪失(TEWL)指標に医療用粘着テープを1日間ならびに2日間貼付した際の、皮膚生理機能に及ぼす影響を調べた。前腕手掌側に5種類のテープを貼付し比較検討した。その結果、角層水分量は紙製テープ以外は全て有意に増加したが、pHならびに油分量には変化はみられなかった。TEWLはいずれのテープも剥離すると有意な増加がみられたが、その程度は紙製テープが最も小さく、プラスチック製のテープは大きかった。また、全てのテープにおいて1日間貼付と2日間貼付において差は認められなかった。以上の結果より、1日以上テープを貼付する場合、皮膚生理機能への影響からみると紙製アクリル系粘着剤のテープが最も影響が少ないことが明らかとなった。(3)前腕手掌側、頸部、腰背部、下腿前部において拭く強さならびに拭く回数を変えた際の皮膚への影響と清浄度について調べた。皮膚生理機能として角層水分量、油分量、そしてTEWLを、清浄度としてATP活性を測定比較検討した。その結果、拭く強さを強くするあるいは回数を増やすといずれの部位でもATP活性は減少する反面、TEWLは逆に上昇した。これは強く拭くあるいは回数を増やすと清浄度は上がるが皮膚のバリア機能が減少していることを示している。部位によって程度の差はあるものの対象者によって清拭時拭き方を変える必要があると考えられた。
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