速乾性手指消毒剤の除菌効果と手荒れへの影響を明らかにするために、昨年度、速乾性擦式手指消毒剤(ウェルパス)、ゲル状速乾性擦式手指消毒剤(ゴージョー)、非薬用石鹸を使用した手指衛生を1日10回行いその影響を明らかにした。それにひき続き今年度は1日10回3日間使用による影響をみた。 手荒れへの影響を見るために、1日目、2日目、3日目、4日目に角質細胞の形態的変化(形態値・重層値)、経皮水分蒸散量の変化(TEWL値)、油分を測定し、手荒れに関する視診(乾燥・紅斑・硬化・紋消失・亀裂)を行った。角質細胞の形態的観察およびTEWL値に関しては3基剤ともに3日間の使用において手荒れを示唆する有意な変化は認められなかったが、視診による手荒れの観察においてはゴージョーで最も手荒れが少なく、ついで非薬用石鹸、ウエルパスであり、手荒れの発生しやすい部位は指先であった。皮膚表面の油分量は3日間の使用で、有意な減少は認められなかったが、手洗い前の測定値がすでに低く、検討の必要がある。 除菌効果を見るために、3日間を通して手洗い前、1回手洗い直後、1回手洗い1時間後、10回手洗い1時間後、にパームスタンプ標準寒天培地を用い手指の細菌数を測定した。3日間ともに昨年の結果と同様ウェルパス、ゴージョーでは1回手洗い直後の除菌効果が高く、1回手洗い1時間後には手洗い直後よりも増加するものの手洗い前と比較して細菌数は少なく、10回手洗い1時間後にはゴージョーでは手洗い前と同等の細菌数であったが、ウェルパスでは有意に細菌数が少なく、持続効果が高いことが示唆された。しかし、各日の手洗い前の細菌数に有意な変化は認められず、3日間連続で手洗いを施行することによる、除菌効果への影響はなかったと考えられた。
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