研究分担者 |
平松 知子 金沢大学, 医学部, 講師 (70228815)
加藤 真由美 金沢大学, 医学部, 助手 (20293350)
正源寺 美穂 金沢大学, 医学部, 助手 (80345636)
牧本 清子 大阪大学, 医学部, 教授 (80262559)
天津 栄子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (30020027)
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研究概要 |
【目的】 転倒予測に関連したナースの直観の構造と過程を明らかにするために、入院高齢患者のビデオを観察した看護師の転倒に関する判断予測を語ってもらい、分析してそのプロセスを明らかにすること目的とした. 【研究方法】 1)対象:本研究に同意を得たN病院(200床)の看護師25名と臨床経験30年以上で自らデイケア施設を開設した1名(エキスパートナース)である。2)方法:半構成的面接法を用いて,入院高齢者の移乗動作場面と排泄場面のビデオを観察してもらい、場面毎に患者の転倒予測について語ってもらい,逐語録とした。3)分析:対象者ごとに逐語録を何度も読み、転倒予測に関する文脈を抽出し、意味の類似するものを集め,直観を構成している局面を取り出した。また全対象者について、この局面そって分析したところ、対象者間で類似するパターンを見出した。これら局面とパターンのプロセスを構造化した。 【結果および考察】 1.対象の概要:25人はすべて女性であり、平均年齢は31.4±8.5歳、経験年数は平均9.1±7.8年であった.2.看護師の直観を構成する局面:(1)観察点(可視的と不可視的)、(2)患者の視点、(3)危険予測の視点、(4)介入の視点の4つに大別できた。3.類型パターン:a.静的要因探索型:4局面共に語る内容は少なく、語った内容も可視的、静止しているものであり、動作が少ない。これは臨床経験1年目の看護師に多くみられた。b.多面的探索予測型:観察点は可視、不可視ともにビデオから読み取れるものが多く、多面的に全体を捉えながら予測につなげることができ、介入も考えられる。臨床2〜10年未満に多く見られた。C.動的相互作用型:前後左右から環境と人間の相互作用を意識し、患者の動きの中で介入が考えられる。経験年数の10年以上の看護師に多く見られた。d.統合的発展的介入型:エキスパートナースは高齢者の健康的な状態から現在の患者の身体状況を描いて比較・検討し,患者を取り巻く周囲の状況が広がりをもって再現でき,具体的な予測と介入を明快に提示していた. 以上から、ビデオを見た看護師間で患者の転倒の予測として、観察、アセスメント、予測、介入のプロセスの状況が直接的・瞬間的に捉えられており、経験年数が増すごとに描くものが静的から動的に、不可視的、介入の視点が豊かになることが示唆された。
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