研究課題
近年高齢化が急速に加速進展していく中で、看護者は人々の生活の質(QOL)の向上に焦点をあて支援することが強く求められている。その中で精神的、社会的問題として注目されているものに「女性の尿失禁」がある。しかし最近、「尿失禁」と並んで分娩後の「便失禁」の頻度が予想以上に多いことが諸外国において報告されている。これらのことを背景として、昨年は我が国における便失禁の実態と関連要因について分析した。今年度は便失禁を有する女性のQOLの実態について、アンケート調査結果から明らかにした。対象は、10〜70歳の1982人(回収率59.1%)の中で、便失禁を認めた56人(2.9%)、およびガス失禁を認めた427人(22.3%)である。便およびガス失禁を有する女性のQOLは、Yu(1989)の開発したISQ-Pを参考に作成した心理・社会的ストレス尺度を用いて検討するとともに、Wyman(1987)の開発した尺度を用いて生活への影響について検討した。またQOLに関連する要因についても分析を加えた。便失禁の心理・社会的影響についてみると、漏れなくなって欲しい、恥ずかしい、人に知られたくない、きまりが悪いの項目においてストレスが強かった。生活への影響をみると、仕事や会合、旅行など、他の人との交流が必要な場面においてその影響を強く感じていた。これらの心理社会的ストレスは、尿失禁の有無、便失禁の程度、残便感、肛門痛及び実母の尿失禁と関係していた。また生活への影響は、出産経験のある者、尿失禁の有無、及び便失禁程度と関係していた。
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母性衛生 46・1(受理・印刷中)
母性衛生 46・2(受理・印刷中)
第35回日本看護学会論文集-母性看護- 35
ページ: 51-53