今年度は、調査事例をもとに間主観的アプローチという研究方法を精錬させることと英国における出産に関連する状況を日本との比較において調査することができた。 まず、研究方法の精錬について。大阪府寝屋川市と福井県敦賀市の助産院において研究に協力の得られたカップルに対して妊娠中からの面接および妊婦健診における参加観察を間主観的アプローチにより継続的に行った。さらに出産時には助産院の助産師とともに助産ケアを実施しながら同様に観察を実施した。妊婦健診や出産時の場面についてはカップルや家族に許可を得て、一部VTRへの収録やボイスレコーダーへの収録を行った。VTRやボイスレコーダーのテープ起こしは研究協力者に依頼し、その収録記録と自ら行った参加観察記録ノートを用いて、記述を行っている。これまでに記述できた内容についてはその結果をスーパーバイザーとの間で何度も意見交換を重ね、助言を受けながら、間主観的アプローチという研究方法の精錬を重ねることに時間を要している。 今年度の研究成果の一部を「文化としてのリプロダクション研究会」にて発表予定で、さらに発達心理学関連の学会誌に投稿すべく、現在、VTRの編集作業を始めているところである。 次に、英国における助産師教育の実際と正常出産研究の動向について資料収集した結果について資料の整理を行っている。産み育てることをマタニティ政策として展開している英国から多くの示唆を得ることができたが、日本の助産ケアのきめ細やかさを再認識することもでき、これからのデータ分析や考察に生かすことが期待できる。 次年度は今年度の事例調査の継続と新たな継続事例の開拓を行い、事例数を増やす予定である。
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