今年度は、助産院での妊娠中から出産、産後半年までの継続事例収集の件数を追加した。ただし、妊娠中に流産になったり、医療機関への転院になったりと異常経過に転じた事例もあり、出産後まで継続できた事例は2例にとどまっている。 一方で、これまでの間に収集できた事例の分析に取りかかっている。分析するにあたっては、VTR録画やボイスレーコーダーで収録したデーターを研究協力者によって文字化を依頼している。しかし、その文字化されたデータの結果はあくまでも参考とするものであって、文字化されたものに縛られることなく、あくまでも現場に佇むことによって、研究者は参加観察者として、自らに間主観的に伝わってくるものを記述するという方法をとっている。この現象学的方法を基盤とした「関与しながらの観察」およびその記述という方法はまだ新しい方法であるために、スーパーバイザーの助言のもとに一場面一場面を詳細に、かつ吟味しつつ記述することに、多大な労力と時間を費やしている。 昨年度は結果の一部を平成17年度の日本助産学会にて発表したが、第一段階としてそれを原著論文として投稿すべくスーパーバイザーの指導を受けつつ論文完成を試みているところである。今後、最終的に全体的なまとめをする計画であるが、今年度内の論文完成には時間的に困難であるため、期間を延長して研究計画書のまとめをする予定である。
|