今年度は、平成15年10月から平成16年2月までの間、九州および関西の2つの精神病院急性期治療病棟に入院し、調査に同意が得られ初回入院である任意入院の統合失調症および分裂病性障害と診断された患者および家族30組を対象とし、2週間に1回、入院中の病状、服薬量、セルフケア、ニーズ、ソーシャルサポートネットワークについて面接調査を行った。また対象者にケアを提供している受け持ち看護師15名に1ヶ月に1回インタビューを行い、ケアの実態について面接調査を行った。 CP換算量の平均は入院時700、退院時680で多剤併用であった。また入院時の精神状態は重度で、セルフケアは部分介助が多かった。また家族は入院のショックから悲観的で、落ち込み、混乱が強かったが、患者の退院時には今後ケアしていけるのか、と不安が強くなっていた。また患者のニーズは早く退院したいがもっとも多く、病識があまりなく、内服についても拒否的で、飲みたくないが退院したいからしぶしぶ飲んでいる状況であった。また受け持ち看護師は、患者の精神状態、セルフケアの安定をみながら患者がどのような時に不安定になるのか、内服薬の種類と患者の病状との関係、これまでの生活の仕方と現在のセルフケアの状況の関係、家族の協力の有無、を把握しながら信頼関係を重要視しながらケアを展開していた。また受け持ち看護師は、医師とのチームミーテイング、家族との信頼関係の確保、に困難を感じており、これらがうまくいくとケアが展開しやすく患者の今後の生活へのサポートもしやすい、と感じていた。
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