平成16年度は、データ収集が課題であり、1大学附属病院で行った。がん化学療法は病棟及び外来で行われており、消化器がんの術後に抗がん剤を投与する患者を対象とした。多くの場合、対象者は外来通院中であったが、入院中に開始になるケースもあった。対象者の条件は、成人であること、著しい機能障害がないこと、読み書きができること、研究参加への同意が得られていることとした。とくに、困難な条件はなかったが、消化器がん患者は65歳を超えた高齢者が多く、「成人であること」を、75歳までに拡大せざるを得なかった。また、前年度に決定した不安・うつ状態を測定する尺度の他に、対象者の全体的な生活の質を測るためQOL尺度を追加した。手順として、外科医師より、条件を満たす対象者がいた場合は連絡を依頼した。それを受けて調査者が患者を直接訪問して、研究の目的・方法・倫理的配慮について説明した。翌日、対象者の研究参加の意思を確認し、同意が得られた場合は承諾書にサインを依頼した。初回の化学療法開始日に2つの調査紙への記入を依頼するとともに免疫調査のため採血を10ml行った。その後、無作為に対象者をリラクセーション群と対照群に分けた。リラクセーション群には方法を説明してデモンストレーションを行い、最後にCDに合わせて技法を行った。対象者の希望によりCDかテープを用いて1日2回練習をするように説明し、実施記録用紙を配布して状況の記入を依頼した。対象者の入院あるいは外来通院状況により、リラクセーション技法のフォローアップを行った。約1ヵ月後、プレテストと同じようにポストテストを実施した。終了後、対照群の対象者から希望により、リラクセーション技法の指導を行った。プロセスは順調に進んでいるが、目標サンプル数に達していないためデータ収集を継続中である。
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