研究概要 |
平成17年度は、前年度に引き続きデータ収集を行った。手順は次の通りである。術後、初回のがん化学療法患者を対象にプレテストは、免疫系指標(Th1,Th2,Th0,Th1/Th2,1L-10,IL-12,DC1/DC2,DC1T,DC2T,DC1,DC2)の測定のため採血10ml、心理状態の指標としてPOMS(Profile of Mental Status)とQOL調査紙を用いた。その後、無作為に実験群と対照群に分け、実験群には漸進的筋弛緩法(25分)を指導し、1日2回実施し状況の記録を依頼した。対照群には病院での治療方針に従うように指導した。約1ケ月後にポストテストを実施した。研究に関する説明を行ったのは27名、同意が得られなかったのは4名であり、理由は、リラクセーション技法を行う気持ちのゆとりがない、忙しく時間がない、予定された化学療法が中止になったためであった。また、プレテスト後にリラクセーション技法が続けられずに中止したのは3名であり、理由はリラクセーション技法になじめない、忙しくて時間がない、副作用が強いためであった。これら対象者の脱落のために、データ収集に予想以上に時間がかかった。目標のサンプル数20名(実験群10名、対照群10名)に達したため、データ収集を終了した。現在データ分析中であるが、結果として免疫指標として、実験群のTh1/Th2は、対照群のそれよりも有意に高かった。また、POMSには6つのサブスケールがあるが、「怒り」と「疲労」については、実験群が対照群よりもよい成果が得られていた。今回の結果からは、サンプル数が少なく一般化することはできないが、リラクセーション技法ががん化学療法患者の精神神経免疫系に肯定的な影響を及ぼしていることは明らかであった。これらの結果に基づき、がん化学療法患者が自立的に活用できるリラクセーション技法を看護援助方法として確立していきたい。
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