高齢社会において、高齢者の健康維持が社会的な関心となっている。高齢者の肺炎の多くは誤嚥性肺炎によるものであることから、嚥下障害への取り組みは重要な課題である。今年度の目的は、在宅高齢者の嚥下と呼吸の協調とスクリーニングテストとの関係を検討することであった。 嚥下に問題のある在宅高齢者をスクリーニングするために、一次スクリーニングとした自記式質問紙による判定と二次スクリーニングとした客観的テストの結果との関係を検討した。 平成15年7月に一次スクリーニングとして嚥下障害リスク自己評価尺度・他者評価尺度の質問紙を尾張旭市シニアクラブを経由して高齢者2528名およびその家族に配布し、郵送法で回収した。有効回答は高齢者759名、その家族368名であった。 一次スクリーニングの質問紙上で、二次スクリーニングとしての研究目的や内容を説明して研究参加を募った。二次スクリーニングの客観的テストには、唾液反復嚥下テスト、改訂水飲みテスト、フードテスト、舌骨上筋郡表面筋電図と呼吸の同時測定、嚥下造影検査が含まれた。その結果、249名が協力の意思を示し、研究参加の再確認と日程調整などから最終的に71名の在宅高齢者から同意書でもって同意を得た。引き続き、平成15年9月〜平成16年3月までに客観的テストを実施した。さらに、二次スクリーニング参加者を対象として、質問紙調査1〜2ヶ月後の再テストを行った結果、有効回答は高齢者では69名、家族では31名であった。 二次スクリーニングの客観テストにおいで、高齢者が参加可能な日程を調整するために、研究実施スケジュールが3ヶ月遅れた。データ収集は完了したが、現在データを分析中である。
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