嚥下に問題のある在宅高齢者1次スクリーニングするための自己評価尺度について、2次スクリーニングテストを至適基準として精緻化すること、声門上嚥下バイオフィードバック訓練の効果を明らかにすることが研究目的である。 在宅高齢者2528人に対して自己評価の尺度について質問紙調査を実施し、759人の有効回答を得た。2次スクリーニングテストとして、反復唾液嚥下テスト、改訂水飲みテスト、フードテスト、舌骨上筋群表面筋電図と呼吸測定、及び嚥下造影検査を71人の高齢者に実施した。さらに、バイオフィードバック訓練を、若齢者5人(29±6.2歳)、高齢者1人(76歳)に実施した。 自己評価尺度は再テストや内容妥当性の検討により、23項目が選定された。因子分析により4因子が抽出され、順に、咽頭期の嚥下障害、誤嚥、準備・口腔期の嚥下障害、食道期の嚥下障害であり構成概念妥当性を確認した。Cronback'sα係数は0.92、再テスト法による信頼性はr=0.85であり、信頼性を確認した。自己評価尺度の合計得点と反復唾液嚥下テストの結果によるROC曲線からcut-off pointを6点とし、敏感度64.3%、特異度は56.1%であった。同様に、嚥下造影検査からは、敏感度57.1%、特異度は56.1%であった。 バイオフィードバック訓練には、吸気終了時に嚥下を音で知らせる訓練器を使用した。被験者は音を聞いたとき正門上嚥下を実施するように教示された。3回の唾液嚥下を1セッションとし、ベースライン期(BL)に1セッション、フィードバック期に5セッションを行い、これを数日間隔で3回繰り返した。正門上嚥下が成功した回数をグラフ化し、ABABデザインに基づき判定した。若齢者では、3人が効果あり、1人がBLで目標到達、1人は呼吸軌跡の判定ができなかった。高齢者では効果を認めた。今後、高齢者の対象者数を増やして確認したい。
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