在宅高齢者の嚥下障害をスクリーニングするための方法を確立し、自律的訓練法の効果を検討することが本研究の目的である。本研究は愛知県立看護大学倫理審査委員会の承認を得て実施された。在宅高齢者を対象に、一次スクリーニングとして既に報告した嚥下障害リスク評価尺度を修正した自記式調査を実施し、759人の有効回答を得た。研究参加の同意が確認された71名に二次スクリーニングとして反復唾液嚥下テスト、改訂水飲みテスト、フードテストが実施された。同時に、舌骨上筋群表面筋電図と呼吸軌跡が記録され、至適基準として嚥下造影が実施された。改訂嚥下障害リスク評価尺度はCronbach's α係数0.90、再テスト法による信頼性はr=0.85、各因子のα係数は0.70〜0.88であり、妥当性・信頼性とも改訂前に比較して増加した。改訂嚥下障害リスク評価尺度及び全ての二次スクリーニング検査による結果のcut-off point 6点では敏感度61.9%、特異度56.9%であった。次に、他者評価尺度は、Cronbach's α係数0.89、再テスト法による信頼性はr=0.78、各因子のα係数は0.76であった。自己評価尺度との関連は、一致率80.5〜95.2%、r=0.60〜0.79であった。これらから、改訂嚥下障害リスク評価尺度あるいは他者評価尺度で検出後、二次スクリーニングの結果を併せて評価することで、嚥下障害を発見する可能性が示唆された。 次に、在宅高齢者の嚥下時の呼吸型は70歳以上において分割嚥下が増加し、安全な呼吸型が減少することが確認された。声門上嚥下訓練が有効であるが、呼吸周期における嚥下惹起の適切な時期に音が出る訓練器を使用して、若齢者4人高齢者1人が訓練を実施した。その結果、若齢者のうち2人及び高齢者1人は声門上嚥下の遂行数が増加し、効果が示唆された。
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