妊産婦を対象とした健康行動学習プログラムの開発とセルフモニタリング用チェックシートの開発を試みた。プログラムは、セルフモニタリング、行動目標の設定とホームワーク、望ましい行動に対する自己強化、自己教示指導、郵便・電話によるフィードバックからなる健康行動学習プログラムを開発した。 チェックシートの開発では、妊娠期セルフケア行動意図尺度(眞鍋他、2001)や保健指導内容を参考に妊婦自身のコントロールが重要視される行動を整理し、チェックリスト形式の表現を加え、胎動、腹部の緊満や出血の有無、体重、食事、運動、生活、気持ち、母親イメージ、胎児とのコミュニケーション、1日の出来事・その他の10項目とした。質問項目に対する回答は4段階で求め、体重は測定値の記載を求めた。次にチェック内容の妥当性を検討するために妊娠経過が正常な妊婦31名(初妊婦22名、経妊婦9名、妊娠週数19〜38週)を対象に1週間の連続的な歩行数や活動量の測定と食事内容とチェックシートの記載を求め、終了時に面接を実施した。その結果、「1日の出来事・その他」の自由記載が他のチェック内容と対応させる際の大きな助けとなったこと、運動に関するチェック状況と歩行数では有意な関連がみられたことからチェックシートの妥当性の一部が検証された。面接から「自分の心理面での変化や生活を見つめ直すことができた」「初めてのお産での不安を自律的に解消できるきかっけになった」「妊娠中の健康管理や気持ちなどいろんなことを知ることができた」など自己の日々の行動や感情を観察・記録することによって、妊婦自身による客観的な気づきが生じることを確認した。チェックシートは妊婦の負担も少なく、指導者にも簡単に用いられ、教育による行動変容をねらう時や問題行動に対して継続的に介入を行う時にその評価として用いることも有効であると考えられた。
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