研究の目的は1)小児がん患者のresilienceを日本と米国とで比較する、2)小児がん患者の弾力性の高め方を理解する、3)小児がん患者のresilienceを高めるための支援を医療関係者、家族、学校との間で共有する、4)研究結果の妥当性を高めることである。研究方法は質的研究と量的研究の組み合わせによる三角測量方法を使用し、平成13年〜14年までにインタビューでえた11〜18歳の小児がん患者7人のデータをHinds & MartinのThe self-sustaining process(小児がんの患者が自分を強めていく過程)と比較するパターン適合法で解析を行った。その結果は次の通りであった。 1.自分の病気を正しく理解していた患者は米国の患者と同様に弾力性が高かく、弾力性を高めるプロセスも米国の患者と類似していた。また、初発の患者は退院時期に、再発の患者は治療期間中に退院後の学校や勉強について現実的に考えるなど、病気の経過と治療時期で弾力性の高め方に相違がみられた。 2.自分の病気を正しく理解していなかった患者には弾力性を高める可能性がみられたが、対象者数が少ないため追試の必要性があると考えられた。 3.量的調査から得られたデータは対象者が7人と少数であるため解析は行わなかった。また、親からのデータに関しても同様であり、追試することにより対象者数を増やす必要性があると考えられた。 以上により、前回の研究調査を継続する目的で施設への調査依頼を行った。現在、1箇所の施設が確定し、2箇所は回答を待っている状況である。また、支援グループの会に出席し九州地方の患児やその家族への支援の状況や情報をえた。このことにより研究の方向性がより明確にされこれに関する文献レビューを継続している。
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