本研究の目的は、看護管理者の老いに対する認識と、介護老人保健施設で提供されるケアとの関連性を明らかにすることである。ユニットケアに積極的に取り組んでいる6施設の看護管理者6名に対し、半構成的面接をおこない、その内容を質的に分析した。その結果、以下のことが明らかになった。看護管理者は、豊かで成熟した老いに対する認識をもっていた。それらは<幼少時に身近に高齢者がいたこと>、<家族介護の経験>、<職場で高齢者に接して印象に残っている出来事>、<スタッフからの学び>、<研修や学習会を通しての学び>、<自身の老いの自覚>、<施設がある地域の特性>、が関連していた。看護管理者の老いに対する認識は、高齢者ケアに対する信念に影響を及ぼしていた。この信念は、<老いに対する認識>、管理者の<研修や学習の機会>、<介護・福祉に対する長期的ビジョン>、<人的ネットワークの所有>、<仕事に対する愛着>、が関連していた。看護管理者は高齢者ケアに対する信念に基づいて、施設ケアの理念設定とケアの方向づけをおこなっていた。それはく個々の利用者のニーズに可能な限り対応する>、<生活の援助を大切にする>、<人生の最後を安心して過ごすための居場所を作る>、であった。これらを達成するために、職員を確保・活用・育成し、必要な予算を確保することで、利用者に対しより良いケアを提供する努力をしていた。施設ケアは看護管理者のトップマネジメント能力が影響しており、中でもスタッフに対するリーダーシップの発揮が重要であるが、看護管理者のリーダーシップの発揮は、高齢者ケアに対する信念が関連していた。
|