本研究は、看護基礎教育における臨地実習中に発生した事故やインシデントの情報をコホート研究の方法を用いて学生個人単位で収集し、発生事例について分析するとともに、マクロ的に発生動向を把握し、発生した実習領域、実習経過日数や既習領域等の実習配置に関わる要因との関連を分析する方法を検討する。そして、これら情報収集から分析までの一連の過程について標準化を進め、看護学校自身で事故等の発生状況をモニタリングし要因分析するためのパーソナルコンピュータを活用した分析システムの開発を最終的に行う。 本年度は、昨年度に引き続いて、調査協力校(都内大学附属看護専門学校7校;3年制)の実習担当教員を調査員として、2・3年次の学生について臨地実習の全期間にわたりインシデント等の発生情報を調査票に基づいて継続的に収集した。調査票の取り扱いにおいては被調査者のプライバシーに十分配慮し、調査票の管理のための個人番号は、調査員以外には被調査者の同定が不可能となるよう任意の数字を用いた。なお、本研究の実施については、東京都立保健科学大学研究倫理審査委員会の承認を得ている。そして、決められたデータ構造にしたがい、収集した情報をデータベース化した。実際にはMs Excelを用いたが、より入力作業の効率化をめざし、有用なソフトについて情報収集を行った。 収集したデータについては、実習配置に関わる要因を併せ、疫学や工学領域で使われている各種の要因分析手法等を考慮して、予備的な分析を行った。
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