1)摂食・嚥下障害の機能評価を計測するシステムの作成 電圧振動ジャイロと増幅器を組み合わせたシステムの作成については、以下の理由から変更を余儀なくされた。計測部位である輪状軟骨の直下の気管の両側の部位において、指標として、筋の挙上する動き、嚥下音、左右差、速度、呼吸音の5つを検討した。これらの指標の計測は可能ではあったが、患者の摂食・嚥下機能障害の個別性、多様性をあわせて検討すると、測定した数値が嚥下機能を正確に表しているか否かの判断が極めて暖昧になることがわかった。摂食・嚥下の複雑なメカニズムに加えて、摂食・嚥下障害の複合性について、臨床リハビリテーション医を交えた専門職によるディスカッションを通して、VFにかわる在宅ケア領域で使用可能な測定機器についてはさらに基礎的研究が必要であることが明らかになった。 2)1)のシステムに代わる摂食・嚥下機能評価方法の検討 平成16年度に実施予定の看護介入の方法として検討していた8ch高速PowerLabを用い方法を1)のシステムに代わる評価方法として検討した。この計測システムは、嚥下機能と同時に呼吸の軌跡を測定し対象の摂食・嚥下能力を判断しようとするものである。試験的な測定結果は、嚥下時の呼吸と舌骨上筋群の表面筋電図を同時に測定するので測定手順等の十分なトレーニングが必要であるが、嚥下時の無呼吸を波形として確認することが可能であった。本年度、60歳以上の高齢者約100名を対象に、摂食・嚥下機能のスクリーニング調査を実施した。このスクリーニングの結果をもとに次年度パイロット・ケース・スタディを実施し、このシステムにより摂食・嚥下の機能評価がどの程度可能か検討することは介入方法を計画する上で有効であると判断された。
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