1.本研究の目的は、脳血管障害者と家族介護者の生活の再構築を支援するために、在宅領域で一般化できる看護介入の方法と、介入効果を量的に測定する用具の開発を目指している。 2.本年度の主な目的は、看護介入の効果を測定する評価研究に開発したプロトコールを用いて、リハビリテーション病院と訪問看護ステーションでパイロット・スタディを実施することである。 3.結果として、 (1)リハビリテーション病院では、摂食・嚥下能力の評価に加えて、ハイリスクな状態や高次脳機能障害を含めた評価を行った。患者5名にパイロット・ケース・スタディを実施し、プロトコールを修正した。 脳血管障害をもつ患者は、発症部位によって、摂食・嚥下機能に支障きたす場合がある。この場合は、安定した座位保持が適切にとられており、注意障害などの高次脳機能障害が改善されていく過程で、少しずつ誤嚥を予防しながら看護介入が実施されている。高次脳機能障害が改善されていくケースは、誤嚥を予防する心理教育的な指導が有効であったが、高次脳機能障害が重度なケースでは、指示がなかなか実行されにくく、在宅にむけたプロトコール修正の課題となった。 (2)訪問看護ステーションでは、在宅療養者5名を対象としたパイロット・ケース・スタディを実施し、在宅環境で活用できる内容を修正した。 在宅環境で用いる場合は、摂食・嚥下の看護介入とともに姿勢保持への看護介入が適切に実施されているかどうかが評価されなければならない。食事をする前後の口腔ケアの実施も重要であり、姿勢保持と口腔ケアにさらに摂食・嚥下の援助が必要であった。誤嚥の予防するためには、肺理学療法の実施が必要なこともたびたびあり、姿勢保持と摂食・嚥下の評価に加え、呼吸の調整等の要因も検討する必要性が高いことが明らかになった。今後、在宅版のプロトコールについては、さらに呼吸・姿勢を安定した上で有効なものにしていく必要性ある。
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