研究課題
基盤研究(C)
本研究は、病院を退院し、地域生活をしている統合失調症患者に対する看護面接を実施することを通して、患者の回復期以降の生きにくさの本質を明らかにし、看護面接の方法を自我強化の観点から評価することを目的とした。面接は、統合失調症患者の生活体験を自我にフィードバックすることを主眼に行った。対象者は、10代と20代の女性1名、男性2名の計3名の初発の統合失調症患者である。面接実施者は精神科看護経験3年以上の精神看護学修士課程修了者4名である。面接記録から生きにくさの本質と面接者が用いている面接方法を質的に抽出した。MMPIのEgo Strength得点を、退院後1週間・3ヶ月・6ヶ月・1年の時点で測定して変化をみた。面接実施期間は退院直後から最短で1年5ヶ月、最長で2年半であり、回数は最小で15回、最多で52回であった。対象者の生きにくさは、【病気の本態に関連する生きにくさ】に対する【病気である自分に対する思い】と日々格闘しながら、他者との間で葛藤し、【日常生活の制約】を強いられていた。またそのことが自己を確かな者と感じることを妨げており、その【不確かな自己】はまた生きにくさを助長していくという構造を持っていた。ES得点は、回復過程とそれに伴う自我レベル、発達課題と関連し、生活体験の質の影響を受けるが、自我の強化を直接的には反映しなかった。看護面接の方法は次のように構造化された。つまり、面接者は面接の目的を常に意識化しており、一方では患者の話の内容を整理しながら判断し対応のレベルなどを考えて展開しており、もう一方では、面接の手順や順序性に気を配り、さまざまなコミュニケーション技法を活用して進めていた。その経過において面接者たちは迷いや限界、自分の傾向性、患者のさまざまな可能性に気づく経験をしていた。最終的に面接者は、自分たちが患者の鏡になるという役割を負っていた。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
北海道医療大学看護福祉学部学会誌 第2巻・1号
ページ: 105-108
Journal of School of Nursing and Social Services, Health Sciences university of Hokkaido Vol.2-No.1
北海道医療大学看護福祉学部学会誌 第1巻・1号
ページ: 47-49
Journal of School of Nursing and Social Services, Health Sciences university of Hokkaido Vol.1-No.1