研究概要 |
1.全国102の大学病院から同意の得られた20施設に2003年4月、就職した新卒看護職のうち同意の得られた1203人を対象とし、同年6月に質問紙調査を実施した。 バーンアウトリスクの測定にMBIを使用した。なお、MBIについては、我々が「頻度」のみの回答で22項目を用いることが信頼性、実用性が高いことを明らかにしこれを用いた。MBIには、下位尺度が3つあり(1)身体的疲弊感及び(2)情緒的疲弊感と非人間化は点数が高いほどバーンアウトに陥っているとされ、(3)個人的達成感は低いほどバーンアウトに陥っていると解釈される。MBI得点上位約1/3(個人的達成感は下位1/3)を「バーンアウトリスク」群とした。アサーティブネス測定には、我々が開発した日本語版Rathus Assertiveness Schedule(RAS)を使用した。 1.横断研究にて2003年に就職した新卒看護職のバーンアウトリスクと以下の項目との関連が認められた。過去1年間の家族の重病と自分の重病、臨床領域、リアリティ・ショック、配置満足、職場満足、給与満足、仕事量、超過勤務、転職希望、同僚、先輩及びその他の相談相手とアサーティブネス。なかでも低いアサーティブネス得点は、MBIのバーンアウトリスク全ての下位尺度の予測因子となる可能性があった。 2,縦断研究にて2004年のバーンアウトに影響を及ぼす要因を明らかにした。バーンアウトは、先輩の相談相手がいないこと、及びアサーティブネスが影響要因となっていた。さらに重度バーンアウトでは、性別で男性、病院所在地で東京とアサーティブネスが影響要因となっていた。なお、アサーティブネスは横断研究の結果と異なり、低すぎても高すぎてもバーンアウトする傾向が明らかになった。 3.縦断研究によって1年未満(12月後まで)に早期退職に影響する要因として、最終学歴が看護専門学校卒業の者、配置が希望と異なり不満である者、同僚の相談相手がいない者が早期退職しやすい事を明らかにした。さらに1年以降(15ヵ月後まで)の退職要因としてバーンアウト、職場満足度が低い者、病院の所在地が東京の者が退職しやすいことを明らかにした。
|