比較に用いた先行研究は、農山村地域で勤務する地域ケアを担う看護を対象に介護保険制度実施の前後に実施したものであった。必要とされた支援の特徴は、(1)介護保険制度についての知識、(2)家族の介護力に関する問題、(3)他職種との連携であり、コンサルテーションのあり方として(1)プラクティス・コンサルテーション、(2)ネットワーキング・コンサルテーション、(3)プロセス・コンサルテーションが挙げられた。 今回の研究は、都市部に勤務する訪問看護師や介護支援専門員を対象として、介護保険制度導入から5年経過し見直しの時期に実施した。必要とされた支援の特徴は、(1)家族ケアに関する問題、(2)連携に関する問題、(3)精神的支援である。介護保険が見直され医療制度が変革され、また障害者自立支援法の実施を控え、訪問看護師や介護支援専門員が直面する家族ケアは、より専門性をもったケアが求められ、連携も保健・福祉・医療・に関係する機関、職種とより具体的な連携のあり方が求められていた。コンサルテーションのあり方として、(1)プラクティス・コンサルテーション、(2)ネットワーキング・コンサルテーション、(3)プロセス・コンサルテーションが考えられた。 都市部の在宅ケア従事者は、担当事例数も多く、それ故対応に苦慮する事例に遭遇することも多くなり、継続的な家族看護に関するコンサルテーションを通して、精神的支援がなされることも求められていた。看護師個人ばかりでなく、彼女たちが所属する組織体の意思決定プロセスにも影響を及ぼすことができるという意味で、組織体の家族ケアに対する文化変容に貢献できるのではないかと思う。質の高いケアを提供するという組織目標を実現するため、継続したコンサルテーションの結果、看護ケア提供のこれまでの体制を検討しはじめたところもでてきた。講義や事例検討などを通して継続した現任看護職への支援は、看護系大学が果たす重要な役割であるといえる。
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