大学病院を退院した在宅神経内科疾患患者とその家族が受けているヘルスケアサービスの効果評価に活用するために、これまでの研究から日常生活困難度を基にした5次元構成のアウトカムインディケーターを開発した。さらに、PsychometricおよびMultivariate手法を用いて、開発した指標の信頼性と構成概念妥当性および予測妥当性を検証した。 郵送留め置き法による初回追跡調査の回答者(463名)に2年後の再調査を実施した(回収数:201)。初回調査における解析対象群と非回答群間のプロファイルを比較した。初回入院日数と性別は両群間で有意差(Statistical significance)がなかったが、解析群における調査時点の年齢が有意に高かった。疾患群別のプロファイルでは解析群と非回答群の両群間で各疾患の割合に差を認めなかった。 2年後の再調査時点における各対象者のHealth-related Quality of Life (SF-36)の情況を従属変数として、SF-36に及ぼすアウトカムインディケーター(日常生活困難度指標)の影響の大きさを、SEMを用いて検証した。初回調査時点の各指標が2年後のSF-36に影響を及ぼすと仮定した。共分散構造方程式モデリングの1手法である多重指標モデルを構成し、全てのインディケーターがSF-36に有意な影響を及ぼしていることを示した。 次に、2年間におけるアウトカムインディケーターの各得点の変化がSF-36に与える髪響を、General Linear Modelを用いて解析した.その結果は、アウトカムインディケーターが影響を及ぼしているSF-36の側面は、インディケーターごとに異なっていることを示した。すなわち、2年間のアウトカムインディケーターの得点の改善の有無でみてみると、2年間で生活困難度が高くなっている人は、特に役割機能(Role Function)と身体機能(Physical Function)に関連するSF-36の低下が顕著であった。
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