研究課題/領域番号 |
15592345
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 景一 東京女子医科大学, 看護学部, 助教授 (00191883)
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研究分担者 |
渡辺 弘美 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (70075448)
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キーワード | アウトカム指標 / 在宅ケア / クオリティオブライフ / 神経疾患 / 在宅看護 / 共分散構造分析 / 一般線形モデル / 妥当性 |
研究概要 |
在宅ケアの質の測定はアウトカム評価に焦点が当てられているが、神経疾患を基礎疾患に持つ在宅ケア患者へのケアの効果評価には、長期間のアウトカム指標を開発する必要がある。そこでケアの効果評価に活用するアウトカム指標を開発し、信頼性と各種妥当性を検証した。 指標開発のための追跡調査を2回実施。ベースライン:5年間に大学病院神経内科を退院した463名(指標開発の対象者)。初回調査年から2年後フォローアップ:201名(妥当性検証)。 開発手順は日常生活行動を遂行する困難度を基に5因子構造の指標項目を構成。構造方程式モデリング(SEM)と一般線形モデルを用いて、指標の構成概念及び予測妥当性を検証した。臨床的関連性を基に指標の利用可能性を評価した。指標は25項目から成る5指標で構成された。SEMを用いて各指標を一次因子とし、上位に総合的アウトカム指標を仮定した二次因子モデルの成立の有無を検証した。モデルのパス係数、適合度指標ともに受入れ基準を満たした。各指標は、1.疾病障害対処困難・不安指標、2.家族介護負担・Strain指標、3.運動機能不全指標、4.身体症状発現指標、および5.地域医療・ソーシャルネットワーク利用阻害指標、と解釈された。各指標が在宅神経疾患患者における2年後のHRQOLに及ぼす影響を、多重指標モデルを用いて検証した。5指標全てが有意に2年後のHRQOLに影響を与えていたが、特に第1指標と第3指標からのパス係数の値が大きかった。2年間におけるアウトカム指標の改善の有無がHRQOLに与える影響をみた結果からは、各アウトカム指標が影響を及ぼしているHRQOLの側面は異なることを見出した。特に、身体機能と役割機能のドメインにおいて、改善群と非改善群における差が大きいことを認めた 2年間におけるアウトカム指標の改善率は26〜40%、安定率は54〜70%。第1と第3指標は在宅療養におけるHRQOLの多くの側面に関与することが示され、指標によるアセスメント結果を基にして、在宅ケア患者の心理社会的問題の抽出とケアサービスの改善や新しいシステムの構築に寄与できると考えられた。
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