研究課題
本年度は昨年度に引き続いて大規模都市におけるホームレスに対する支援活動と中規模都市の行政及び支援団体の活動について現地調査を行った。また、ホームレスに対する偏見を是正するための教育と看護職のネットワーク構築の調査を始めた。1.大阪市の生活保護申請に対する行政指導は、あいかわらず施設入所を強要し、権利金の要らない簡易宿泊所を探すよう指導したり、保護の決定を遅らせたりしている。軽い知的障害のある女性には女性自立支援センターか三徳寮への入所を指導し、外国籍の者は異議申し立てができない。NPOの支援団体では、入院や施設へ入所後でしか生保の適用がされない。大阪城公園では工事名目で30人の野宿生活者が立ち退きか施設入所を迫られている。2.中規模都市では保健所の保健師による健康相談の窓口が常設されたり、ボランティア団体と協働で健康相談を実施し始めた。ボランティア団体と協働して社会福祉士会や看護協会が入浴サービスや就労支援を始めて、路上からの脱出を支援している。3.野宿することすらできない、排除を是認する考え方がホームレス自立支援特別措置法制定以来強化されてきている。「路上の権利」として、シェルターに入所を希望しない人への生きる権利、支援する体制を構築する必要性が以前より増してきている。
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大阪市立大学人権問題研究会紀要『人権問題研究』 第5号
市大社会学(大阪市立大学社会学研究会) No.5
ページ: 53-67