研究概要 |
本年度は以下に示す主として3項目の研究を実施した. 1.南方振動と福岡及び韓国における月降水量との相互相関解析 福岡および韓国のBusan, Mokpo, Inchon, Daejeon, Gangneungの月降水量を対象に南方振動指数(SOI)との相関解析を実行した.この場合,SOIのカテゴリー分類手法を適用するとともに,新たに非超過確率時系列変換とケンダル相関の組み合わせで用いる手法を提案し適用した.その結果,上記6観測地点の降水変動パターンは違うものの,月降水量に対するSOIの影響として,福岡と韓国南岸部ではラニーニャ現象が発生した4ヵ月後に,また韓国の中緯度から高緯度にかけての地域では5ヶ月後に強い影響が表れること再確認した. 2.福岡における多雨月降水量と種々の大気海洋指標との相関解析 福岡市の水資源に大きな影響を及ぼす梅雨から台風期にかけての多雨期の月降水量(6月から9月)を対象に,4つの大気海洋指標(SOI, PDOI, NPI, DMI)との相関解析を実行した.その結果,多雨期の総降水量と4つの大気海洋指標との間に有意な相関は得られなかったが,月単位でみると8月の降水量が同じ年の6月のSOIおよび2月のNPIと有意で比較的高い相関にあることが検出された.そしてこの場合SOI, NPIが大きくなる程降水量が減少する傾向となった. 3.大気海洋指標と海面温度データを入力値とするニューラルネットワークを用いた福岡市月降水量予測モデルの構築 福岡の8月の降水量を対象に,3つの大気海洋指標(SOI, PDOI, NPI)と全球海面温度データを用いたニューラルネットワークによる中期的な降水予測モデルの構築を試みた.この場合近年提案されたPMIアルゴリズムおよび自己組織化マップ手法を用いてモデル入力変数の選定を行った.結果として1月の9地点の海面気温と2月のNPIを入力とするモデルが予測精度が高いことを示した。
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